火を使わない「加熱」タイプの新しいたばこが注目を浴びている。従来の紙巻きのようにたばこの葉を燃やさないため、特有のにおいがほとんどなく、灰が出ないのが特徴。全国的に品薄となっており、愛媛県内でも入手困難な状況が続いている。
 松山市中心部の屋外喫煙所で、紙巻きのスモーカーに交じり、加熱タイプで一服する同市の30代の男性会社員。4月に紙巻きから乗り換えたといい、「これまでと同じ感覚で味わえる上、灰が出ないので後始末も楽になった」と話す。
 フィリップ・モリス・ジャパン(東京)が4月から全国で本格販売している加熱たばこ「iQOS(アイコス)」(希望小売価格9980円)。別売りの専用たばこを装着して加熱し、そこから発生した蒸気を吸う仕組み。新たな技術開発の中で誕生し、紙巻きたばこの味わいや感覚などを再現できるよう設計したという。
 同社は「髪や洋服ににおいが付きにくく、清潔さに敏感な日本人に合っている」と人気の要因を語る。県内ではコンビニなどで購入できるが、入荷してもすぐに売り切れており、予約待ちの状況が続いている。
 これまでも加熱たばこを開発していた日本たばこ産業(JT、東京)は3月、新たなタイプの「プルーム・テック」(希望小売価格4千円)をオンラインショップなどで発売。たばこ葉を直接加熱するのではなく、カートリッジ(別売り)内の液体を霧化し、たばこ葉入りカプセル(同)に通すことで蒸気を発生させるシステムだ。
 一方、禁煙を推進する県内の市民団体「タバコフリー愛媛」会長の加藤正隆医師=新居浜市=は「紙巻きたばこではなくても、たばこはたばこ。有害物質は含まれている」ときっぱり。「喫煙のきっかけになり、紙巻きたばこに移行する可能性もある」と警告している。