愛媛県上島町の佐島にある宮ノ浦(みやんな)遺跡を調査している愛媛大と町教育委員会は19日、古墳時代前期初頭(3世紀中ごろ)の製塩炉1基を確認したと発表した。製塩に携わった人々が食料にしたと思われる魚の骨や、壺(つぼ)や甕(かめ)といった生活道具も出土し、村上恭通教授は「海を舞台にした当時の人々の営みが分かる貴重な発見」と話している。
 製塩炉は、製塩土器に入れた海水を高温で煮詰めるための遺構。炉の一部を縦約60センチ、横約23センチにわたり確認、地面には約5センチのくぼみを作って粘土を敷き詰めていた。砂浜の最も高い場所に設けられており、浜風を利用して燃料を効率よく燃やしていたと考えられるという。
 当時の人々の食生活の一端を示すタイやエイの骨、カキの貝殻などは、まとめて廃棄された製塩土器(古墳時代前期中ごろ)に交じっていた。炉の北西約50メートルの場所からは、煮炊きや食料の貯蔵に使う土師(はじ)器が見つかり、村上教授は「製塩作業の中核である炉とともに、生活スペースも分かった」と話す。