戦国大名・島津義久の琉球国王宛て書簡が愛媛県伊予市の個人宅で発見されたことを受け16日、鑑定した東京大史料編纂所の黒嶋敏准教授の講演会が同市中央公民館であった。黒嶋准教授は「見つかった書状は重要な研究素材。国の重要文化財指定も見据えて、保存・活用に向けた手だてを講じてほしい」と呼びかけた。
 書状の日付は天正18(1590)年8月21日で、豊臣秀吉の関東平定を伝え、祝いのために上洛(じょうらく)するよう促す内容。明治期に複製が制作され、原本は愛媛にあったとの記録も残るが、その後行方不明となり、今春約120年ぶりに確認された。
 約120人が参加。黒嶋准教授は、原本と判断した理由について説明。他の義久文書と筆跡が酷似しており、丁寧に墨継ぎして書かれていることなどを挙げ、「当時、義久が琉球国王宛てに使った書状の特徴と一致する。後世の人が作るのはほぼ不可能」と述べた。