2月に引退公演を終えた愛媛県松山市北条地域出身の人形浄瑠璃文楽太夫で人間国宝の豊竹嶋大夫さん(84)=本名・村上五郎=が24日、内子町内子の内子自治センターで講演を行い、約70人を前に浄瑠璃の一節を情感たっぷりに素語りした。
 嶋大夫さんは、過去の写真を映し出しながら追想。師匠との思い出や海外公演のエピソードなどを明かし、「義太夫は情が語れないと意味がなく、そのためには人生経験をたくさん積まないといけない。浄瑠璃語りは本人の生きざまそのもの」とした。
 今回は特別に、盲目の夫とその妻の夫婦愛を描いた「壺坂観音霊験記(つぼさかかんのんれいげんき)」の一節を披露。現役さながらの魂のこもった語りに、会場からは大きな拍手が巻き起こった。