「子規さんと俳句詠み比べ」―。愛媛県松山市千舟町8丁目の新玉小学校の5年生が、地元出身の正岡子規が市内を巡った際の俳句を収録した「散策集」を基に地域を学んでいる。5日は90人が散策集を参考にしたルートで子規ゆかりの旧跡を回り、当時の風景との違いや共通点を探した。12月に自分たちの俳句を集めた現代版「散策集」を完成させる予定。
 同校は2014年から愛媛大と連携し、総合的な学習の時間で環境問題などに取り組んでいる。今年は地域共創学部の羽鳥剛史准教授の研究室が、まちづくりの一環で地域を知る教育モデルを研究テーマにし、指導や教材作成に協力。児童は9月から子規や俳句について学んできた。
 5日は最初に「風呂吹を喰ひに浮世へ百年目」の句碑がある湊町4丁目の円光寺を訪問。郡直行住職は「江戸時代の住職・明月上人の百回忌を記念し、東京で闘病中の子規が詠んだ」とし、明月が寺の名物になっている風呂吹き大根を食べに句会に顔をみせる内容と解説した。
 子規の家や、夏目漱石と一緒に暮らした「愚陀仏庵」跡などを市観光ボランティアが案内した。子どもたちは現在の繁華街が、川が流れる水田地帯だったことを知り驚いた様子。当時から使用されているれんが造りの鉄道橋を前に早速「秋の雨しゃれたトンネル子規とおる」などと詠む子もいた。
 近藤未来さん(10)は「地元だけど初めての場所もあった。子規と同じように歩くと、俳句ができて勉強にもなるし、生まれ育った地域が一層好きになる」と話していた。