旅館経営を科学的に 日本旅館協会会長が講演 財務データや現場の声を大切に
国内約2800の旅館が加盟する日本旅館協会の会長で、滋賀県・雄琴温泉の旅館「湯元舘」の針谷了会長(65)が12日、松山市文京町の愛媛大で講演し、財務データや現場の声に基づく科学的な旅館経営の必要性を訴えた。
講演は次世代の観光産業を担う人材を育てる愛媛大の「観光エキスパート育成プログラム」の一環として実施。同プログラムの受講生と道後温泉旅館協同組合の組合員ら約50人が参加した。
針谷氏は旅館業の特性を「(大型の設備やシステムが必要な)装置産業であるため、借金体質に陥りがち」と分析し、「正確な月次決算や棚卸しを実施することで、次々手を打っていく必要がある」と指摘した。また多くの従業員を雇用するため、日々の労務環境を見直し、時には機械化やIT化を進めて生産性を上げていくことの重要性を説いた。
受講生らは「現状維持ではなく、改善を続けていくことが成長につながるのだと思った」「現場力を感じた」などと感想を述べていた。