愛媛県松山市丸之内の東雲神社で4日、例大祭に合わせた「東雲能」が奉納され、約250人の観客を幽玄の世界に引き込んだ。
 演目の能楽「田村」は、勝ち戦の武将を主人公とする修羅能の代表作。松山藩お抱え能役者の子孫で、金剛流能楽師宇高通成さん=京都市=がシテ方を務め、坂上田村麻呂とその化身の少年の2役を踊り分けた。中でも戦で活躍する田村麻呂の舞は勇ましく、小雨がぱらつく会場の雰囲気を一気に盛り上げていた。
 「東雲さんのお能」として明治時代から親しまれてきた同神社の能は、資金難などを理由に1995年に中止されたが、復活を望む声を受けて2010年に再開した。現在は実行委員会を組織し、毎年4月4日の奉納を続けている。