「お成り」や「大名行列」の名で親しまれている愛媛県大洲市阿蔵の八幡神社の御神幸行列が2日、市内を練り歩いた。装束をまとった約260人が太鼓に合わせて厳粛に歩み、大洲藩時代に思いをはせた。
 「ドン、ドンドン」と1拍と2拍が交互する独特の太鼓。大洲藩は維新後、東京に移る明治天皇の行列の先頭警備を担っており、行事は当時の歩調を受け継いでいると言い伝えられている。長柄やりを持つ侍は太鼓に合わせ足を踏みだしては止まり、晩秋の盆地をゆっくりと進んだ。
 その後方には太鼓、弓、盾、みこしの一団が長い列。太鼓をたたく重責は毎年子どもに任されており、初めて経験した中学生(15)は「途中で自分のリズムが合っているか分からなくなったけど、注目される行列の一員をやれてよかった」と充実感を口にした。