県警、登山者検索や遭難場所把握にネット活用 山岳救助もネット時代
山の日が制定されるなど登山ブームが続く中、遭難事故が後を絶たない。愛媛県警は効果的な救助に向け、今秋からインターネットでの登山届の活用や、スマートフォンなどの衛星利用測位システム(GPS)を利用して遭難者の位置情報を把握するシステムの運用を始める。捜索範囲を絞り込み、正確で迅速な救助を行うのが狙いだ。
ネットの登山届受理システムは、日本山岳ガイド協会が運営する「コンパス」。協会や県警地域課によると、7月現在約3万8000人が利用しており、無料。登山者はパソコンやスマートフォンから日程やルート、緊急連絡先のメールアドレスを登録し、予定時刻を7時間すぎても下山を届け出なければ、緊急連絡先にメールが送られる仕組みだ。
県警と協会は28日に協定を結び、コンパスに登録されている登山者情報を共有する。家族らが安否確認できない場合は県警に通報する流れになる。これまで、登山届は交番や登山口のポストなどにばらばらに出されていた。コンパスは、エリアや日付ごとに登山者を一括検索できるほか、他の登山者に連絡して目撃情報などを得ることも可能で、地域課は「捜索が容易になると見込める」と期待している。
位置情報を知らせる県警のメールシステムは10月から運用が始まる。遭難者がGPS機能付きスマホなどの位置情報サービスを利用できるよう設定し、県警のホームぺージ内に開設する専用フォームに名前や住所を書き込んで送信すれば、現在地の経度と緯度を通報できる。110番でも一定の位置情報はつかめるが、同システムで、より正確な場所が把握できるという。
地域課によると、2015年の山岳遭難救助事案は25件。26人が遭難し、うち2人が死亡、9人が負傷した。同課は「登山計画の届け出が準備につながる。登山者は天候や体調を考慮し、計画を立てて行動し、事故に遭わないようにしてほしい。万が一の際はシステムを活用し、迅速な救助につなげたい」としている。