愛媛県砥部町内の88の札所を巡る「砥部四国参り」のうち、過疎化の影響で参道が通れなくなっていた立野地区の32番札所「禅師峰寺」(同町川登)が28日、約15年ぶりに巡礼先に復活した。元住民の有志が参道などを整備して28日には接待所を開き、札所を巡るお遍路さんと笑い声を山奥に響かせた。
 砥部四国は江戸時代から続くとされる。元住民らによると、立野地区は標高約550メートルの山あいにあり、町中心部から山道を約8キロ登る。かつてはスギやヒノキの木炭生産など林業が盛んで、明治初期には約40世帯が住んでいた。
 しかし、ガスなどの普及で林業が衰退し、現在は1世帯だけ。過疎化とともに参道は荒れ、禅師峰寺だけが巡礼先から省かれていた。
 「立野をジャングルにしてはならない。先祖代々の地を手入れしよう」。他の地区や松山市に移った50~70代の元住民6人が立ち上がり、今年2~3月に重機で約300メートルの参道を整備したり、倒れていた寺石などを直したりした。