学校統廃合への危機感から愛媛県伊予市双海町の住民団体「まちづくり学校双海人(ふたみんちゅ)」が子育て世代をターゲットに、移住支援を本格化させて3年を迎えた。これまでに4世帯13人が移住。学校存続の重点校区だった山間部の翠小学校では移住世帯の子どもの入学もあり、本年度は1、2年の複式学級が解消された。メンバーは移住者と住民の橋渡し役も担い「移住者が根付き、地域の人たちが楽しいと思える機会が増えれば」と話している。
 双海人は2012年4月に町内外の住民らが結成。プロジェクトでは、空き家の調査や賃貸交渉のほか、インターネットや大都市圏での移住フェアなどでの情報発信、見学者の案内も手弁当で行う。見学者と住民を引き合わせ、移住後のギャップがないよう土地柄や暮らしぶりを知ってもらうとともに、住民には人柄に触れて受け入れの機運を高めてもらえるよう気を配っている。
 翠小校区では、13年以降、独自に移住した数家庭に加え、双海人が支援した2世帯10人が暮らし、校区外通学者とともに児童数を押し上げた。学校によると、児童数は13年に15人まで減ったが現在は26人。4月には移住世帯の3人を含め5人が入学、校区外通学で1人増えた2年生との合計が10人となり、複式学級の基準(1年を含む場合は8人)を超えた。
 13年に川崎市から移住した双海人の男性(42)は「移住者がすぐ転出するケースが多ければ成果はなく、むしろ地元の人の精神的なダメージは大きい。ゴールはここに住んでいる人のハッピーさを上げること」と強調する。