人気落語家の桂文枝さんが24日、愛媛県松山市の道後温泉をテーマにした創作落語を道後温泉本館でお披露目した。明治期に本館改築に尽力した伊佐庭如矢(1828~1907年)の功績などを盛り込んだ新作で、県内の落語ファン約50人を笑いの渦に巻き込んだ。
 本館改築120周年を記念し、松山中央商店街や道後地区の旅館関係者らでつくる松山・道後創作落語実行委員会が主催。実行委員会によると、本館での落語上演は初めてという。
 「道後温泉へ行こう!」と名付けられた創作落語は、クラブのママから社長宛てのメールが間違って届き、妻に怒られた部下が、そのおわびとして道後温泉旅行を贈られるという筋書き。大きな拍手で迎えられた文枝さんは、改築の歴史や如矢の奮闘ぶりなどご当地ネタを織り交ぜながら、軽妙な語り口で観客を引き込んでいった。
 高座を終えた文枝さんは「伊佐庭如矢のような立派な人を笑いにするのは難しかった。先見の明がある人だったと思うし、落語を通じ、如矢の思いが少しでも伝われば」と話していた。