別子銅山の煙害対策に尽くした住友2代目総理事・伊庭貞剛(1847~1926年)の業績を伝えようと、歌劇「天空の町」を育てる会(酒井稔会長)主催の講演会とシンポジウムがこのほど、愛媛県新居浜市のホテルであった。市民約140人が伊庭の生きざまを通して、銅山の歴史や環境問題に理解を深めた。
 伊庭を主人公にした同歌劇が9、10月に松山市と四国中央市で上演されることを記念して開いた。
 講演では、元環境事務次官の炭谷茂・済生会理事長がラオスやインドネシアなどの途上国では、現在も鉱山から深刻な公害が発生していると紹介。「伊庭は当時の政府が富国強兵策を進める中でCSR(企業の社会的責任)に取り組み、環境と社会福祉を両立したまちづくりを世界に先駆けて実践した」と称賛した。